2026年6月3日水曜日

団地のキッチンは何を語るのか|6月14日トークイベントに登壇します

6月14日13時より、UR都市機構主催のイベントで団地についてお話しすることになりました。 会場は、かつてのUR西日本支社の建物をリノベーションしたコミュニティスペースほとりで』です。


今回のイベントで特に注目したいのが、白鷺団地で実際に使用されていた初期公団のキッチンの実物展示です。住宅設備は更新されることが前提となっているため、建設当時のキッチンが現物のまま残されている例は決して多くありません。しかし、こうした設備には単なる機能を超えて、その時代の暮らし方や住まいに対する考え方が刻まれています。

設計者の視点から見ると、キッチンの寸法や収納の構成、素材の選択ひとつひとつに、当時の生活像や家族像を読み取ることができます。古い設備は過去の遺物ではなく、その時代の住まい手と設計者の対話の記録とも言えるでしょう。

当日は、このキッチンを囲みながらゲストの皆さんと対談を行います。また、団地入居者向けに制作された映画『団地への招待』も上映される予定です。映像からは当時の暮らしのルールや価値観を知ることができ、住まいと社会の関係を考える上でも興味深い資料となっています。

私たちは新しい建築を設計する一方で、過去の住まいや暮らしから学ぶことも少なくありません。古いキッチンを通して、住まいの歴史とこれからの住まいについて考える機会になればと思います。

2026年5月27日水曜日

断熱材フェノバボードを施工|Kyoto Monochrome Renovation完成まで

作り変える箇所の解体が完了しました。

今回の計画では、コストを抑えるため既存部分をできる限り活用する方針としていました。しかし、実際に解体してみると、図面や事前調査だけでは分からなかった状態が見えてきます。

寝室の天井は、既存の天井板の上から下地材を施工し、ビニールクロスで仕上げる予定でした。ところが、解体後に確認すると既存天井の強度が想定よりも弱く、このままでは長期的な耐久性に不安が残る状態でした。そこで既存の天井板は撤去し、新たに天井を組み直す方針へ変更することにしました。

リノベーションでは、工事が進む中で当初の想定と異なる状況が出てくることが少なくありません。そうした状況に対し、コスト・性能・デザインのバランスを見ながら、その場で最適な判断を積み重ねていくことも工事監理の重要な役割です。


また、外壁に面する壁には断熱材「フェノバボード」を施工しました。既存住宅では断熱性能が十分でないケースも多く、こうした断熱改修によって室内環境は大きく改善されます。目に見えなくなる部分ですが、住み心地に直結する重要な工程です。




2026年5月13日水曜日

コストを抑え、残しながらつくるリノベーション|Kyoto Monochrome Renovation完成まで

今回からはKyoto Monochrome Renovationの工事の様子をお伝えします。

工事費を抑えるため、既存部を残して活用することにしています。そのため解体ではすべて撤去してスケルトンにするのではなく、一部を残しながらの工事になります。

残す予定のところを間違って解体してしまわないように解体業者さんと綿密に打ち合わせを行いました。図面と見比べながら解体するかしないかを丁寧に判断していきます。ピンク色のテープで残すか撤去するかをマーキングすることで間違いを防ぎます。







2026年4月22日水曜日

テレビ番組『THE世代感』で団地特集に協力しました

世代間のギャップをテーマにしたテレビ番組『THE世代感』の今週末4月25日の回に団地が取り上げられることになり、団地に詳しい建築家として内容面で協力しました。

番組では、かつての団地での暮らしを紹介する映像を現代の若い世代に見てもらい、「なぜ当時の団地はこうしたつくりだったのか?」という違和感をきっかけに、団地という住まいの背景や意味をひも解いていく構成とのことでした。これらの疑問に団地に詳しい建築家としてアドバイスを行いました。

放送は4月25日(土)よる10時20分、テレビ朝日系列にて。
ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

2026年4月15日水曜日

リノベーション現地確認のポイント|電気容量と設備の判断|Kyoto Monochrome Renovation完成まで

施工業者とともに現地確認を行いました。

設計が固まった段階で改めて現地を見てもらい、図面だけでは判断が難しい箇所について、施工者の視点から意見をもらいます。

特に問題となったのが電気容量です。分電盤に表示がなく、既存の契約容量が把握できなかったため、IHコンロや食洗機の設置可否について判断がつかない状況でした。



確認の結果、電気容量はおおよそ30A程度と推定されました。この容量では、長時間大きな電気を使い続けるIHコンロはまで賄えないためガスコンロに変更することになりました。また、食洗機は設置できますが使用時に電子レンジやエアコンなどを同時に稼働させると、容量を超える可能性がある点も、実際の暮らしにおける注意点として共有しています。



その他の項目については、概ね設計通りで問題ないことが確認できました。これを踏まえ、次の段階として見積もりの作成を依頼することにしました。

2026年4月8日水曜日

リノベーションの工務店選びは1社指名か相見積もりか|Kyoto Monochrome Renovation完成まで

設計が固まり、次の段階は工務店の選定と見積もりへと進みます。

工務店の選び方には大きく二つの方法があります。ひとつは最初から1社を指名する方法、もうひとつは複数社にヒアリングと見積もりを依頼し、その中から選定する方法です。

一般的には後者、いわゆる相見積もりが合理的とされます。価格や提案内容を比較できるため、条件の整理がしやすいというメリットがあります。ただし、その分時間がかかることに加え、リノベーションのように設計段階から施工者と相談しながら進めたい場合には適さないこともあります。

また、相見積もりは必ずしもコストダウンに直結するとは限りません。設計初期から1社に関わってもらい、納まりや仕様を共有しながら調整していく方が、結果として無駄が少なくなり、コストが抑えられるケースもあります。

そのためには、指名する工務店が施工面・金額面の双方において信頼できることが前提となります。近年では、相見積もりへの参加を行わない方針の工務店も増えており、特に施工品質に自信を持つ会社ほどその傾向が見られます。

今回の計画では、コストを抑える必要があったことに加え、こちらで信頼できる工務店を把握していたため、1社指名の方式で進めることにしました。