2026年11月2日月曜日

失敗しない団地の買い方|中古団地は古いからこそ安心? 新築にはないメリットとは

 今回は、中古の分譲団地を購入するメリットについてお話しします。

新築マンションを購入する場合と比べて、中古団地の大きなメリットのひとつは、建物の将来を予測しやすいことです。

例えば、新製品よりも、昔から販売されていて実績のある製品の方が安心して購入できることがあります。中古団地にも、それと似たところがあります。

金剛団地(富田林市)

中古団地の購入を検討されている方からは、次のような質問をいただくことがあります。

「建物の構造は大丈夫だろうか?」
「将来、売却できるだろうか?」
「管理が行き届かず、建物がボロボロにならないだろうか?」
「問題を起こす住民はいないだろうか?」

こうした不安は、中古団地に限った話ではありません。新築マンションにも同じようなリスクがあります。また、新築マンションの場合、実際に何十年も経ってみないとわからないことが多く、購入前に判断するのは難しいものです。

金剛団地(富田林市)

一方、中古団地は、すでに建築から数十年が経過しています。その間に建物がどのように維持管理されてきたのか、どのような問題が起き、どう対応してきたのかといった実績が積み重なっています。つまり、新築マンションではまだわからないことも、中古団地なら、すでにある程度答えが出ているのです。


金剛団地(富田林市)

もちろん、すべての問題がわかるわけではありません。しかし、必要な資料を入手して調べれば、建物の状態や管理状況、将来の修繕に関する課題などを購入前に把握できます。

その結果、問題を抱えている団地を避けたり、リスクを理解したうえで購入を判断したりすることができます。

築年数が経っていることは、必ずしもデメリットばかりではありません。長年の実績を確認できることは、中古団地ならではのメリットなのです。


金剛団地(富田林市)

では、どのような資料を調べれば、購入前に問題の有無を判断できるのでしょうか。

次回は、団地を購入する際に確認しておきたい資料についてお話しします。

2026年10月28日水曜日

失敗しない団地の買い方-物件選びからリノベーションまで|団地って買えるの? 分譲団地の基礎知識

弊社では、団地リノベーションの設計だけでなく、団地の購入時の仲介からお手伝いしています。また、売却の仲介を行った経験もあります。

そうした実務経験をもとに、今週から、分譲団地を購入してリノベーションしたいと考えている方に向けて、団地の買い方や、いい団地を見極めるポイント、団地ならではの注意点などについてお話ししていきます。。

第1回は「そもそも、団地って買えるの?」というお話です。

富田第二住宅(高槻市)

団地リノベーションがまだ珍しかったころは、「えっ! 団地って買えるんですか?」とよく驚かれたものです。公営住宅や公団住宅が払い下げられるものだと思っている方もいらっしゃるようです。
まずは、分譲団地とはどのようなものなのか、ご紹介しましょう。

竹の台団地(長岡京市)

団地は、戦後の住宅難に対応するために数多く計画されました。一般のマンションに賃貸と分譲があるように、団地にも賃貸住宅だけでなく、最初から販売する目的で建てられた「分譲団地」があります。

東大路高野第3住宅


分譲団地には、賃貸団地とはまた違った魅力があります。例えば、初期団地の傑作とされる阿佐ヶ谷住宅も分譲住宅として建てられました。津端修一氏が設計に携わったこの団地は低層の建物が並び、豊かな外部空間が広がるその環境には、ゆとりある住まいづくりの考え方が表れています。こうした住環境も、分譲団地の魅力のひとつです。


阿佐ヶ谷住宅(東京都|現存せず)

分譲団地の大きな魅力は、購入した住戸を自分好みにリノベーションできることです。
賃貸住宅では、内装の変更が禁止されていたり、退去時に原状回復が求められたりすることが一般的です。
一方、分譲団地なら、管理規約などで定められたルールや工事の制限を守れば、自分の暮らしに合わせて間取りや内装を変更できます。

新金岡団地(堺市)

緑豊かな環境の中で、自分好みのインテリアに囲まれて暮らす。そんな住まいを実現できるのが、分譲団地を購入してリノベーションする魅力なのです。

次回からは、分譲団地を購入する際に、どんなところをチェックすればよいのか、具体的なポイントをご紹介していきます。

高倉台団地(神戸市)

2026年10月7日水曜日

1年後の住まいを訪ねて|Kyoto Monochrome Renovation

 これまで連載してきた「Kyoto Monochrome Renovation」。

完成から1年ほど経った頃、久しぶりにお住まいを訪ねました。


完成時には、白とグレーを基調としたモノクロームの空間が印象的でしたが、1年後の住まいには、そこに暮らしが加わっていました。

約40㎡というコンパクトな住まいですが、LDKと寝室をつなげたり、襖を開け閉めしたりすることで、暮らしに合わせてさまざまな使い方ができます。ダイニング、リビング、寝室と、少しずつ雁行しながらつながる小さな空間も、それぞれの場所として使われていました。大きなワンルームにするのではなく、少しずつ変化する空間をつなげる。そのことが、コンパクトな住まいの中に、暮らしの居場所をつくっているように感じました。




モノクロームの内装も、家具や暮らしの道具が加わることで、完成時とはまた違った表情を見せています。

リノベーションは、工事が終わったときが完成ではありません。そこに暮らしが加わり、住む人に使われていくことで、少しずつその家らしい空間になっていく。1年後の住まいを訪ねて、そんなことを改めて感じました。

今回で「Kyoto Monochrome Renovation」の完成までの連載を終わります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2026年9月30日水曜日

ステンレスキッチンとメタリックなスイッチプレート|Kyoto Monochrome Renovation完成まで

 Kyoto Monochrome Renovationの完成写真を見ながら、今回はキッチンとスイッチプレートについてご紹介します。


採用したのは、ミラタップの「グラッド45」。このキッチンを選んだ理由のひとつが、ステンレス素地をそのまま生かした仕上げです。

ステンレスは、白やグレーを基調とした空間の中で、少し違った表情を見せてくれます。塗装された面のように色そのものが強く主張するのではなく、窓から入る光や周囲の色を映し込みながら、表情が変わります。

今回のようなシンプルな内装では、こうした素材そのものの質感が、空間のアクセントになります。キッチンは大きな家具のような存在なので、コンパクトな住まいでは特に、そのデザインや素材が室内全体の印象に影響します。

だからこそ、単に「使いやすいキッチン」というだけではなく、インテリアの一部として選びました。


そして、もう一つこだわったのが、スイッチやコンセントのプレートです。

ここにも、キッチンに合わせてメタリックなものを選びました。住宅のスイッチやコンセントは小さな部品ですが、壁のあちこちに現れるものですから、おろそかにはできません。

リノベーションでは、間取りやキッチンなど大きなものに目が向きがちです。でも、実際に暮らし始めると、スイッチを押したり、ドアを開けたり、キッチンを使ったりするたびに、こうした小さな部品が目に入ります。だからこそ、スイッチプレートやドアの金物も「設備の付属品」としてではなく、インテリアを構成する一つの要素として考えました。

ステンレスのキッチンを中心に、スイッチプレートや建具金物までメタリックな素材でそろえる。こうした小さな積み重ねが、今回のモノクロームの空間をつくっています。

色を増やさず、素材で変化をつくる。

今回のリノベーションでは、そんなインテリアのつくり方を試してみました。

2026年9月23日水曜日

すこしづつ変わる、小さな空間を豊かにするための工夫|Kyoto Monochrome Renovation完成まで

Kyoto Monochrome Renovationの完成写真を見ながら、今回はLDKと寝室のつながりについてご紹介します。

今回の間取りでは、「広さ」と「変化」の両方を楽しめる住まいを目指しました。

この住まいでは、寝室とLDKの間にある襖を開け放つことで、約18畳のワンルームとして使うことができます。

普段は寝室を独立した部屋として使い、必要なときには襖を開けて、ひとつの大きな空間として使う。

暮らし方に合わせて、空間の大きさを変えられるようにしています。

ワンルームとして使うときに意識したのが、床のつながりです。

LDKと寝室の床仕上げを同じものにそろえ、さらに部屋の間にある敷居も床と同じ色に塗装しました。

部屋と部屋の境目には、どうしても「ここから別の部屋」という線が生まれます。

そこで、床の仕上げと敷居の色をそろえることで、その境目をできるだけ目立たせず、視覚的にも一続きの空間として感じられるようにしています。

襖を開けると、床がそのまま隣の空間へと続いていきます。


一方で、LDKと寝室を一直線につなげているわけではありません。

ダイニングからリビング、そして寝室へと、空間が少しずつ雁行するような構成にしています。

すべてをストレートにつなげてしまえば、より大きなワンルームとして見せることはできます。

でも、あえて少しずつ位置をずらす。

そうすることで、ひとつながりの空間でありながら、場所ごとに違った見え方が生まれます。


写真を見ると、手前のダイニングからリビング、寝室へと視線が少しずつ動いていくのが分かります。

「つながっているけれど、すこしづつ変わる」。

そんな関係をつくることで、18畳のワンルームが、単に広いだけではない、変化のある空間になりました。小さな空間を豊かにするための工夫です。



2026年9月16日水曜日

50~60代のこれからの暮らしを考える|SUVACOオンラインセミナーに出演します

SUVACOのオンラインセミナー
「設計・施工者に聞く『50~60代の成功リノベ』実例解説セミナー」に出演します。

今回のセミナーでは、50~60代のこれからの暮らしをテーマに、4名の建築家・リノベーションの専門家が、それぞれの実例を紹介します。

私は、「団地リノベで愛着のある住まいをアップデート」というテーマでお話しします。取り上げるのは、50代と60代のご夫婦と、愛猫3匹が暮らす団地のリノベーション「ネコと暮らす団地リノベーション」です。



築55年、64.3㎡の団地。

もともとは和室が続く3LDKでしたが、これからの暮らし方を考えて1LDKへと間取りを変更しました。

今回お話しするのは、単に「古い団地をきれいにした」という話ではありません。長年住み慣れた住まいの良さを残しながら、これから先の暮らしに合わせて、どこを変え、どこを残すのか。洗面・脱衣所を広くしたり、浴室の寒さや掃除のしやすさに配慮したりと、50~60代からの暮らしを見据えた具体的な工夫についてもお話しする予定です。

「これからも今の家に住み続けたいけれど、少し暮らしにくくなってきた」

「子育てが終わって、今の間取りが暮らし方に合わなくなってきた」

「住み替えではなく、今の住まいをリノベーションするという選択肢も考えてみたい」

そんな方には、参考にしていただける内容ではないかと思います。

セミナーは無料のオンライン開催で、60分間です。

私の担当する団地リノベーションだけでなく、他の建築家からもマンション、戸建て、二世帯住宅など、異なる住まいのリノベーション事例も紹介されます。

開催日時

9月26日(土)10:00~11:00
9月27日(日)10:00~11:00

10月にも複数の日程があります。

詳しい内容やお申し込みはこちらからどうぞ。

SUVACO「50~60代の成功リノベ」実例解説セミナー

これからの住まいを考えるきっかけとして、ぜひご参加ください。