「日本の高度成長を支えた炭鉱の島。当時の暮らしぶりを思い起こすとともに、建物の風化の過程を見てほしい」(軍艦島、一般公開始まる=炭鉱閉山、35年ぶり-風化の歴史、観光に・長崎市:時事通信社記事より)ということで、ある筋には聖域と憧れの地であった軍艦島が
ついに観光での上陸が可となりました。
「炭鉱」「昭和レトロ」「廃墟」・・・見事に三つのツボをついてますね。
来島者年間二万人を見込んでいるのだとか。
さて、20年前に当時の所有者から許可をいただいて上陸したことがあります。
“絶対一人で歩かないこと”と念を押されての上陸でしたが、
実際歩いてみると確かに一人で歩くのは危ない。
「安全に見学できるようにしてほしい、
でもきれいに整備してしまうと面白みがなくなる」
・・・という悩み(軍艦島パラドックスと私は呼んでいます)
は軍艦島に限らず、古い建物を観光地として
整備するときには必ず出てくる問題です。
安全圏を遊歩道でめぐるという解決策に不満もでているようですが、
うかつに歩き回ったらマジに命が危ないです。
真新しくて景観になじまないと評判の悪い亜遊歩道も
30年もたてば適度に朽ちて以前からそこにあったように
見えるのではと思います。
その点、銅の精錬所跡で有名な犬島は煙突など
一部構造物をあらたに施設として改修しつつ
倒壊の危険のある箇所も見学者に十分周知の上で
あえて残すという方法をとって、うまくいっているようですね。
和歌山の友ヶ島でも砲台跡を観光地化できないかという話があって
プロジェクトチームとして参加したことがありますが、
安全性を満たしながら時間を経てこその“枯れた”魅力も維持するのは
高度な問題で、チャレンジ精神がくすぐられますね。
ぜひ、手がけてみたいジャンルです。
そのようなお話があればぜひ吉永建築デザインスタジオまで!
20年前、軍艦島に上陸したときの写真です↓
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