「アートイニシアティブ~リレーする構造」が届きました。
いわゆる美術館やギャラリーのような純粋なアートスペースではない建物、あるいは
建物の外、すなわち町へ飛び出て行われているアートの活動の事例を
全国から集めて一冊にまとめた本です。
感想を送ってくださいと手紙が添えられていたので、
早速読んで感想を送りました。
そのなかで触れたことを一つ書いておきましょう。
この本には数十のアートプロジェクトが紹介されて、
それぞれ当事者が説明文を書いています。
それらを読んでおやっ?と思った点がひとつ。
ほとんどのプロジェクトの説明が
地域も主体も関わっている人も違うのに
文章の雰囲気が異様に似ている。
オリジナリティーを気にするアーティストたちの活動が
同じ語り口でつづられているというのは違和感を感じます。
思うにNPOで活動したり、行政にバックアップを受ける中での
報告書口調になっているのか。
手続き上の報告書はそれでいいとしても
広く世の中に知ってもらおうとするときには
もっと自分たちの言葉で語ってもらいたかったなと思います
(文化庁から支援を受けているから?)。
もしこれが書き手の書き癖によるものでなく
アートイニシアティブを社会的に永続的に続けていくための
“処世術”によって、表現がこわばってしまった結果
ならば残念なことです。
NPOなど支援体制が充実していない時代の事例や
自前で動かしているワコールのアートプロジェクトの説明が
とても生き生きと読めたのはなぜかと考えるとやはり
支援を受けていない故の自由さなのかなと思います。
また小さなアートイニシアティブを各地に増やすことを提案した
築港ARCの説明にも同じような自由さを感じたのもうなずけます。
*
ちなみにこの本、送料の200円さえ払えば無料で送ってもらえます。
文化庁からの委託金で印刷しているので有料頒布ができないのだとか。
すごくいい本なのでゲットすべし。おすすめです。
くわしくはこちら
↓
『BankArt1929』
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