2012年3月2日金曜日

資産計上から考える建築の保存

こんにちは。
吉永建築デザインスタジオの吉永です。
*
大阪中央郵便局として使われていた庁舎の保存運動が
「大阪中央郵便局を守る会」を中心に進められています。



それをうけてさる2月23日に「大阪中央郵便局を守る会」主催の
シンポジウムが開催されたのですが、これが建物の保存を
訴えるものとしては今までにない画期的な内容でした。

まずタイトルにびっくり。
そのタイトルとは
『大阪中央郵便局の活用を考える 保存と解体を超えて』(!)
解体はわかるけど“保存”も超えるってどういうこと???
この点がこのシンポジウムのキモで、
ただ“いい建物だから残そう”ではなく
“いい建物だから活用しよう”という
建物のオーナーにとってもメリットになる
保存の方法を前向きに考えていこうという姿勢が見られました。

中でも納見健悟(あるく総合研究所主宰)氏の
「資産計上から考える大阪中央郵便局」と題した講演は
この姿勢を象徴するような内容で
会計的視点で見ても解体しないで活用したとしても
オーナーにメリットがあると分析。その上で
「歴史的建造物が持つ価値」を「無形資産」として計上する方策として
「大阪モダン建築ポータル」なるものの設立を提案していました。

この講演の内容については「大阪中央郵便局を守る会」のブログに
建築史家の倉方俊輔氏がまとめてくれています。
こちら→「資産計上から考える大阪中央郵便局」
特に最後の一文だけでもご覧いただきたいので
紹介しておきます。

「会計的な論理もうまく使えば、先人の優れた実績を資産として評価する道もある。そして、会計やマネジメントというのは意思決定側の言語でもある。相手側の論理で整理して価値につなげていくことが重要なんです」。


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