2019年3月10日日曜日

施工不良を防ぐお役目

今回は工事監理者という聞きなれないお役目についてのお話し

施工不良問題が起こると世間的には工務店は何をしているのだ!と話題になるわけですが、
一方で設計業界の中では「工事監理者は何をしているのだ」が話題となります。

工事監理者は施工不良を防ぐ重要なお役目です。
工事監理者が図面通りに工事がされているかどうかをチェックすることで施工不良を防ぎます。
建築基準法、建築士法で以下の様に規定されています。
●建築士法第18条3項
建築士は、工事監理を行う場合において、
工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、
直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、
当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、
当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。

●建築士法第2条8項
この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、
それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。

建築主は(ほぼすべての建築工事にて)工事監理者を定めなけれなならないことが法律で決まっています。
建築基準法で以下の様に規定されています。
●建築基準法第5条の6 
4.建築主は、第一項に規定する工事をする場合においては[中略]
 規定に基づく条例に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。
5.前項の規定に違反した工事は、することができない。

え?「定めなければならない」?!
定めなければ工事をすることができないのに決めた覚えがない…という方でも
注文住宅の場合ならばいつの間にか決められているのです。
だれが工事監理者をつとめているかは確認申請書類に記されています。

どの工事にもこの工事監理者がいて図面通り、確認申請通り工事されているか
チェックしているので施工不良、少なくとも「図面と異なる」ことは理屈としては起こりにくいはずです。
しかし重要なお役目の割に設計者や現場監督に比べるとその存在は薄い…
これがありえない施工不良が頻発する原因の一つなのです。

工事監理者が必ずいるはずなのに施工不良が起こることがある。なぜ起こるのか。
それは工事監理者が十分に工事監理をしていない名ばかり工事監理者であることが考えられます。
設計施工が一緒の場合など工事監理者が、
工事を行う工務店や関連の業者の場合はそうなる可能性が高くなります。

設計と施工が別の場合は設計事務所が工事監理も引き続き行うことが多いので
設計施工一括の場合に比べて施工不良防止がしやすくなります。

では設計施工一括の場合はどうしようもないのでしょうか。
その場合は工事チェックだけを手がける設計事務所に頼む手があります。
参考)さくら事務所関西|新築工事チェック
すでに工事監理者が決まっている場合は法的な意味での工事監理はできませんが
第三者的にチェックを行うことで施工不良を防ぐことができます。