先週の続き
S町はどこまでもまっ平らに田んぼが広がるまちでした。
そしてこんもりした森が島のようにポツンポツンと
田んぼの“海”に点在していました。
これがS町独特の景観、日本の田園地帯の風景。
「この風景を保ちながら住宅地開発ができないか」
をテーマに方法を模索しました。
景観条例や指針をつくって開発の広さや場所を制限する…
というのが一般的にとられる方法でしょうが、
仮に制限したとしても狡猾に規制を交わすところも
出てくるでしょうし、現実的ではない。
そしてS町が気に入らなかった案は
まさにこれでした。みんなが守ればいいけど、
誰かが守らなくなるととたんに破綻する。
ここでもう一度、S町の風景を思い返してみました。
島のような森は木だけが茂っていることはほとんどなく
木々のなかにはかならず神社や農家が建っていました。
「鎮守の森」と「屋敷森」が海上のような独特の風景をつくっている。
ならば新たに開発した土地は
必ず高木で囲うように指導するか義務付ける。
というのはどうだろうと考えました。
これならばどんな開発をしてもただ森が増えていくだけで、もとの風景は変わらない。
そして遠い将来は田より森が多くなり、緑豊かな住宅地へと成長していく。
住宅地の開発が進めば進むほど木々が増えていく…その矛盾が面白い。
この発想はS町の景観から拾い上げたポテンシャルによって
生まれました。これが吉永建築デザインスタジオの考える
ポテンシャルをクリエートすること=ポテクリなのです。
次週に続く
▲ブログランキングに参加しています。応援クリックよろしくお願いします。
高槻市の建築家 吉永健一の設計事務所/吉永建築デザインスタジオはこちら→