2010年2月18日木曜日

けんちく知識の木曜日:団地の高齢化は快適さのあらわれ

先々週、明舞団地で開催されていた
まちづくりラボの活動報告を聴講してきました。

その中で繰り返し取り上げられた
現在の明舞団地の問題点の一つに「高齢化」があります。
これはこの団地のみならず多くの団地が直面している問題でもあります。

人口が減るとともに65歳以上の人口比率が年々上がって行く…
それだけ捉えると若い人に人気がなくて高齢者だけが取り残されるという
寂しいイメージをもたれてしまうのですが、
よくよくデータを見るとこのネガティブなイメージを
覆す事実が浮かび上がってきます。

例えば今回の報告会で配布された資料に取り上げられた
下の二つの表を見てみましょう。



人口が減り(左表赤い線)高齢者の人口比率が上がっている(右表)ことがわかります。
一般に高齢化を問題にする時多くの方々はこの二つの
数字を主にして問題を述べられます。ここに間違いがあります。

左の表の黄色い線が示す世帯数を見てみましょう。
こちらは微増しています。

人口は減っているのに世帯数は減っていない。
これは何を示しているのでしょう。

このように解釈できます。
一旦住んだ人たちがあまりの気持ちよさになかなか出て行かない。
そのため子供たちの世代がそのまま住み続けたり、出戻りすることが出来ない。
よって、人口減、高齢化アップ、世帯数は変わらずとなるというわけです。

実際公団の団地に昔から住み続けている方に話を聞くと
ほんとにいいところです!という回答が返ってきます。
仕方なく住んでいるという方にはお目にかかったことがありません。

団地の高齢化は団地の住み心地のよさのあらわれである…
これは学者やメディアが伝える団地のイメージとは100%異なるものです。

高齢化が進んでいて、それが問題であることは事実です。
しかし地方の高齢化とは事情が異なります。
実情と違う過度にネガティブなイメージで現況の団地を捉えてしまうと
その対策を間違えてしまう可能性がおおいにある、
そのことをきちんと頭に入れなければ団地の再活性化の実現は
失敗に終わる。そのように思います。


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