2010年4月29日木曜日

けんちく知識の木曜日:司馬遼太郎も住んだ公団団地

事業仕分けに関連してでしょうか
公団団地についてこんな記事が取り上げられていました。

『公団なくしてはノーベル賞受賞はありえなかった?!』(YOMIURI ONLINEより)

団地というと今ではすっかり庶民の住宅というイメージですが、
本来は中高所得層、ある程度の収入がある層でしか住むことのできない
高級住宅です。

かつては益川教授のようにセレブ層が住んでいた団地も少なくありません。
大阪は西長堀に現在も建っている西長堀アパートはその最たるものでした。




当初は野村克也、森光子も住民する今で言えば
六本木ヒルズに当たる団地でした。

大卒初任給が1万円の時代に家賃が月9000円と聞けば
その高級ぶりは想像に難いと思われます。



司馬遼太郎もこの団地に住んでいた有名人の一人。
「竜馬が行く」など多くの代表作がこの団地で執筆されたものです。

司馬氏の住まいと言うと司馬遼太郎記念館に隣接する自宅が
よく知られていますが、この自宅購入後も執筆の中心は
この西長堀アパートです。



「坂の上の雲」の二百三高地のシーンは屋上に上り
頭上に広がる空を眺めてイメージを膨らませたとか。
坂の上の雲は“団地の上の雲”だったのです。

よって司馬遼太郎記念館は東大阪ではなく
西長堀アパートこそふさわしい、と団地好きとしては思うのです。


大阪府北摂高槻市の建築家 吉永健一の設計事務所/吉永建築デザインスタジオはこちら→