2006年5月11日木曜日

使われる庭

2006/05/11:庭の話 その2…使われる庭

わたしが東京で勤めていた設計事務所では
当時、新潟市民芸術文化会館というホールの設計を
手掛けていました。わたしはその周りの公園の設計を
担当していましたが、このときの経験がわたしの「庭」観に
影響を与えています。

新潟市民芸術文化会館は森の中に建つということを、
コンセプトにしたホールでした。
公演がはじまるまでの待ち時間や休憩時間、
そして公演の余韻を味わいながらの帰り道、
木々を眺めたり散策したり…
森の中で楽しい時間がすごせるよう
意識して設計しています。

ここで庭は眺めるだけのものではなく、
公演の数時間を楽しくすごすための
「ツール」のようなものです。つまり「使う」庭です。
そのため、新潟市民芸術文化会館では
庭が建物の飾りであることをこえて、
ホールにとってなくてはならない存在と
なっています。

この新潟市民芸術文化会館を設計した経験から
日常から逃れるための鑑賞用庭より、
日々のくらしを楽しくすごすための使われる庭に
わたしは関心を持つようになりました。そして
そんな「使われる」庭をつくっていきたいと
強く思うようになりました。