2007年8月15日水曜日

【コラム】建築を平和な時代に




こんにちは

お盆休み、いかがお過ごしでしょうか。

よしながです。



1930 年代、英国に「テクトン」という建築家集団がありました。保守的な英国の建築界の中にあって、伝統から距離をおいて、その建築に求められる状況をクールに 見つめ、過去の建築のセオリーににとらわれない斬新な建築を産み出していました。そんな彼らは1939年に防空壕の提案を「Planned A.R.P」という本にまとめています。空爆というものを実に冷静に分析して、見事なプランにまとめています。

いま僕の手元にあるこの本 は古本屋で手に入れたものです。裏表紙には前の所有者(日本人)のものと見られる“1939年11月20日”と記されたメモ書きがあります。手に入れた日 をメモしたのでしょうか。第二次世界大戦の真っ只中、建築によって日常の安全を守るという点では現在でいうところのシックハウスや耐震性以上に、切実で急 を要した問題だったのでしょう。本土爆撃までに建築家として何かを考えなければ…という思いがあって購入したのかもしれません。

一方、「テクトン」の作品としてよく知られている建築のひとつにロンドン動物園のペンギンプールがあります。こちらもペンギンの生態を観察したことで生まれ たデザインで、彼らの技量をよくあらわすとともに平和なほのぼの感漂う建築となっています。かれらも「ペンギン」のことを考えて設計していたほうが楽し かったに違いない。そんな平和な世の中が世界中に広がること、そして末永くつづくことをこの日に祈りたいと思います。