2007年10月29日月曜日

大大阪モダン建築 橋爪紳也著

■週刊 けんちくのうんちく…所長吉永のコラム(ほぼ月曜午後に更新)

建築は使われてナンボ。よき建築は使って残す。その1
一冊の魅力的な本が出版されたのでご紹介しましょう。

それは『大大阪モダン建築』(青幻社)。

大大阪モダン建築

大阪市内中心部に建つ戦前築のグッとくる近代建築、いわゆる
レトロな洋風建築、そのうちでも昔のまま現役で活躍している
オフィスビル、会館のほかレストランやギャラリーとして再活用
されている建築が数多く紹介されています。

この本を読むと“全国で古きよき建築がつぎつぎ壊されていく中
で大阪の近代建築は元気だなぁ”と思えるのですが、話はそう
単純ではありません。実際には『大大阪モダン建築』に取り上
げられている以外の近代建築も多くあって、そのほとんどは少
なからず存続の不安を抱えています。

建築は使われてナンボです。建ち続けるには使われなければ
いけない。だから、よき建築を残そうと思えば使わなければい
けない。いや、考えようによっては使っていれば残る。自分たち
が好きに使える体制が整っていれば、『保存だ!』と身がまえな
くても自然と残していけるはず。そんなことを最近考えています
…というか実行に移しています。

来週から数週にわたってそんな活動を紹介していきます。
お楽しみに。