2010年4月19日月曜日

コラムの月曜日:だから“公団”のよさを伝え続ける必要がある

23日より仕分け作業がはじまります。
UR都市機構もその中に入っているわけで
UR関連の方々はもちろん、団地愛好家にとっても
公団団地がどうなるのか気が気でなりません。
そして、さまざまな報道や昨晩のニュースでの前原大臣の
コメントから察するにその多くが民間の手に渡るのは
避けられないようです。

緑が豊かで伸びやかな環境。
こどもを自由に安心して遊ばせることのできる公園など
昨今の民間のマンションにはない豊かな住空間が
現在の公団団地の中にはあります。

民間の管理下になること、
建て替えられてしまうのは仕方がないとしても
現況より環境が悪化するのであれば
建築に関わるものとして許せない思いがあります。

人口は減少、また「エコ」の観点から
新築よりもリノベーションが評価される昨今、
オープンスペースを広く取ったオリジナルの建て方は
可能だろうし、また建て替えずしてオリジナルの建物を
そのまま活かすことも可能なはずです。

そのためにはわたしたち団地を愛している人たちが
建て替えに反対するでもなく
また建て替えに携わる方々を批判するのではなく
ひたすら団地のよさを多チャンネルで伝えていく
ことが一番有効なのではないかと考えています。

例えば京都では、
「ここには古くていいものが建っている。
今となっては同じものがつくりえない。
そんなところであなたはどのように設計しますか?」
という問いに答えながら設計を進めなければなりません。
現状の京都に不満を持つ方々もいると思いますが、
この問いがコンセンサスとなり
少なからず京都の景観の悪化を
踏みとどめていると私は考えています。

団地にもこの問いが必ずなされるようにしたい。
そのためには団地の魅力を啓蒙し続ける必要があると
愛好家たちと思いを新たにしています。



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