2020年6月14日日曜日

長く住み続けたいなら扉は既製品ではない方がよい理由

東大路高野住宅リノベーションの現場が進んでいます。

ここではリノベーション前の建具を引き続き利用しています。そのまま使えるものは塗装だけを塗りなおし、寸法を変える必要があるものは作り直しもしくは加工しています。

たとえば天袋の両開き戸の片方の扉だけ幅を替えたり。


以前のオーナーが高さを変えた扉を元に戻したり。


元の建具を再利用すればコストは抑えられますし、場所によって扉のデザインが変わってしまうこともありません。実はこれは建材メーカーで販売されている既製品の建具では難しいことです。

既製品の建具は表面が樹脂のシート張りになっています。加工しようとするとシートが破れるのでそのまま使うことはほぼ不可能。塗装できないこともないですがはがれないようにきれいに塗るのは大変です。

また既製品の建具は周りの枠とセットですので扉を替える⇒枠を取る⇒壁を傷める⇒壁の工事も必要となりコストが跳ね上がります。強引に扉だけ替えられたとしても扉と枠のデザインがちぐはぐになることは避けられません。

その点、建具屋で製作したフラッシュ扉は加工が容易ですし、多少痛めても塗装で補修することができます。扉と枠はもともと別に作っているので扉だけ交換することが容易ですし、塗装でデザインを合わせられます。


このリノベーションで新たに付けた扉はシナ合板のフラッシュを使いました。新旧の扉のデザインを合わせることができ、将来の変化にも対応できるようにするためです。既製品より少しコストはかかりますが長い目で見ると十分ペイできるのです。新築の場合でも安易に既製品の扉を採用を決める前にこの点よくよく考えることをおすすめします。